ご無沙汰しております。
かんき皮膚科 院長の神吉晴久です。
今日は最近の活動についてお伝えします。
まずは7/4(金曜)から「皮膚悪性腫瘍学会」に参加して演題発表をしてきました。
所属は神戸大学からで,大学勤務中の最後の仕事になりました。
僕の専門の一つである乳房外Paget病の化学療法について,神戸大学での11年間のまとめを発表しました。勤務医最後の学会発表が,思い出深いPaget病についての発表になるとは,昔の自分からは想像もつかないことでした。思い返せば研修医時代に初めて担当した悪性腫瘍の患者が乳房外Paget病でした。そのことは15年以上前になりますがいまでも鮮明に覚えています。こうやって多くの患者さんから,実際にたくさんのことを勉強させてもらったんだと,今更ながら患者さんに感謝の気持ちで一杯です。
ここで乳房外Paget病(パジェットまたはぺージェットと読みます)について簡単に説明しておきます。
名前からは想像しにくいですが,れっきとした皮膚癌の一つです。
陰部(男性なら陰嚢や陰茎,女性なら大陰唇や小陰唇ちかくに発生することが多いです)に生じることが多い皮膚癌で,最初はかゆみや赤みなどから始まります。長い間かゆいだけの症状が続きますが,もちろん放置して手遅れになると命取りになる病気です。
僕が今まで診てきた患者さんを振り返ってみると,別の科で「かぶれ」や「湿疹」,「たむし(=水虫)」といわれて長い間塗り薬だけをぬられて手術をうけていない症例も少なくありませんでした。
また,この病気は頻度は少ないですが,わき,へそ,肛門周囲などにも出ることがありますので,陰部以外でも注意が必要です。
見た目も湿疹と区別がつきにくいですが,わかっている人が診察すればすぐに診断ができる病気です。
安易に「単なるかぶれ」や「たむし」と思い込まずに,専門の皮膚科を受診した方が良いと痛感する病気の一つです。みなさんも陰部がかゆかったり,赤かったりしたら,念のため皮膚科に受診することをおすすめします。
また,学会とは別に,今日は久しぶりに(と言っても2週間ぶりですが),神戸大学病院に行ってまいりました。大学病院の手術のお手伝いです。
大学病院はものすごい激務ですので,ゆっくり仕事を楽しむゆとりなどはなかったですが,離れてみるとその良さがわかります。
久しぶりに後輩の先生たちと一緒に手術し,症例についいて話し合い,また時には指導してとても充実した時間が過ごせました。なつかしい気持ちで一杯になり,帰り際にはとても寂しい気持ちでした。
こんな機会を作っていただいた錦織教授はじめ大学の皆さんに感謝いたします。
というわけで,7月も開業の準備ばかりしているわけではありません。