アトピー性皮膚炎について

今日は,最近当院で患者数が急増しているアトピー性皮膚炎についてお話しします。

実際,アトピー性皮膚炎は皮膚科の中でも最もメジャーな病気の一つです。
厚生労働省の調査では4ヶ月児の12.8%,3歳児の13.2%,小学6年生児の10.6%はアトピーであったという報告もあります。

まずアトピーとはどんな病期なのでしょうか?ざっくり言って下記の2点が特徴です。
1:強いかゆみを伴う発疹が,顔や首,肘や膝など特徴的な部位に繰り返し出現する
2:多くが5歳までに発症するが,大人になってから発症するパターンもある

ではその原因は何なのでしょうか?
最近では
1:遺伝的な素因
2:環境因子
が言われています。

1:遺伝的要因
遺伝的素因としては,近年多くの遺伝子多型(個人個人のわずかな遺伝子の違い)の解明がすすんでおり,
アトピーに関係する遺伝子領域が20箇所ちかく報告されています。
たとえば,皮膚の乾燥に関係する遺伝子や,免疫反応を制御する遺伝子,虫さされに対する反応に関係する遺伝子などで,
これらの要素を多く持っている人,少しだけ持っている人など,その組み合わせも様々です。
このため,遺伝的要因だけを取り上げても,個人個人の症状が十人十色であることが容易に想像できます。
ここに環境因子が加わって,アトピーの症状が決定されると考えられています。

2:環境因子
環境因子としては,気温(季節),汗,ストレス,日光暴露,食事,掻爬行動(かき癖),虫さされ,入浴方法など,
これも枚挙にいとまがありません。
よく患者さんの話を聞いて,何が増悪因子になっているかを患者さんと一緒になって考える必要があります。

つまり,
アトピーの治療には
患者さんの遺伝的特徴(乾燥が強い傾向にあるのか,アレルギー反応が強く出ているか,炎症反応が強いのか,虫さされの後がひどくなりやすいのか,などなど)
をよく把握した上で,乾燥が強ければ保湿治療を,アレルギー反応が強く出ている患者さんにはアレルギー対策を,炎症が強い患者さんには炎症を抑える治療をしっかり行い,,,,
といった個別の対応をしつつ,
環境因子の対策をしっかり行っていくことが大切だと言えるでしょう。

当院では,上記の流れで治療の方向性を決め,
具体的内容については皮膚科学会の治療ガイドラインに沿った根拠のある治療を選択するようにしています。
また,最近よく話題になっているプロアクティブ療法についても積極的に行っています。

プロアクティブ療法についての詳しい内容は次回にお伝えしたいと思います。

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