アトピー性皮膚炎に対するプロアクティブ療法について

2015-02-04

今日は先日お伝えしていましたアトピー性皮膚炎に対するプロアクティブ療法を紹介します。

 

プロアクティブとは,「先を見越した」「予防的な」という意味でとらえられています。

これに対する言葉としてリアクティブ療法(「反応的な」と言う意味から,再発後の治療を意味します)があります。

以前はこのリアクティブ療法がよく行われていました。

「悪いときはステロイドをしっかり塗って,良くなったら薬を休みましょう」

こういった台詞を僕も昔使ったことがありますし,今でも使うことがあります。

これが悪いわけではなく,軽症の湿疹,アトピーなどであれば十分良い治療と言えるでしょう。

しかし,前回お伝えしたとおり,アトピー患者さんの症状は十人十色で経過も様々です。

従来の方法(リアクティブ療法)で再発を繰り返す患者さん(下図)はどのようにしたらいいのでしょうか。
図2

 

この解決策の一つがプロアクティブ療法です。

では具体的にどのような治療方法なのでしょうか。

 

1 十分な寛解導入

アトピーが悪いときは十分な量のステロイド軟膏をつかって治療します。

これはかゆみが無くなり皮膚がつるつるになるまで行う事が理想的です。

症状の強さにもよりますが,4週間から8週間が必要と言われています。

 

2 管理された予防療法(プロアクティブ)

皮疹が十分に改善したら,次は減量の時期に入ります。

症状の強さやそれまでの罹患期間,過去の再発までの期間などを参考にして,患者さん個々に相談して決めます。

非常に重症の方には1日1回投与,やや症状が強い方には隔日投与,

症状が軽めであった方には週2回投与など,いろいろなパターンがあります。

ここでも慌てず,十分な期間を使ってゆっくり減量していきます。

最終目標は週1回だけステロイドを使うくらいまで減らすこと(究極的には使わずにすむ事)ですが

皮疹が再燃しては意味がありません。

たとえば週に1回の外用まで減量できれば,たとえ全身に塗ったとしてもステロイドは5~10g程度で済みます。

これは全身のアトピー管理としては非常に少ない量であり,きわめて効率の良い治療であると言えます。

海外の報告では,プロアクティブ療法を行った患者さんと,リアクティブ療法を行った患者さんを比較すると,

プロアクティブ療法を行った方が最終的にはステロイドの使用量が少なくすんだ,というものもあります。

しっかりと継続して,まずはかゆみに悩まされない生活を続けていただくことが大切です(下図)。

図1

ここで,プロアクティブにおける注意点をいくつか。

1 保湿はしっかり毎日継続する

ステロイドの使用は随時変更していきますが,保湿は変わらず1日2回しっかり続けてください。

2 ステロイドの使用範囲は変わらない

以前に皮疹があった場所,かゆかった場所は潜在的に炎症が起こっていることが知られています。

治療がうまくいっていても,見た目がきれいになっていても,かゆみが治まっていても,

以前に症状があったところはプロアクティブ(予防)すべき範囲になります。つまりステロイドの使用範囲は減ったりはしません。

3 プロアクティブ中にも再発はある

アトピーも人間の体の中で起こる反応ですので,調子の良いとき悪いときの波があります。

いったん寛解していても,同じように予防していても調子が悪くなるときは「必ず」あります。

こういったときは一時的にステロイドの使用回数を増やして対応します。

小さい波であれば短期間で寛解状態に戻ることが可能です。

4 プロアクティブは全員に当てはまるわけではない

前述の通り,ごく軽症の方や,超重症の方,寛解まで持っていくことができない方などは個別に対応を要するケースが多いです。

 

当院にお越しになっている患者さんは皆さんこの方法をお話ししていますので,よくご存じだとは思います。

塗り方を細かく指導いたしますので,特に初診の方は診察時間が長くなることがございますが,ご了承いただければと存じます。

また,実際に治療を受けていただく患者さんも,マメに塗り薬を塗る手間は大変なものだと思います。

しかし,本当に大切な治療ですし,がんばるだけの価値はあると思っています。

アトピーでお悩みの方はぜひ,一緒に考えて,一緒に治療していきましょう。